るがじん日記





騎士道一筋に生きてきた私にも遅い春がやってきた。
最愛の人、部下でもある炎蛇将ガダラル。
お互い責務に追われる日々ではあるが、日々の想いを書に著しておこうと思う。



るがじん日記



3月18日

魔笛:アルザビに安置
三蛮族の勢力:LV0


よく晴れた日だった。
三番族の勢力も低い為、いつもの見張り台で
ワジャーム樹林を見渡す愛しのガダラル殿を目の端に確認する。
暑いのか、時おりターバンを脱いで、髪を風に当てている。
美しい。





3月20日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


風がやや強いか。
枯れた葉がワジャーム樹林から飛ばされてくる。
愛しのガダラル殿は、風に紛れて埃が目に入ったのだろうか?目をゴシゴシ擦っている。
まるで猫の顔洗いだ。
可愛い。





3月24日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


毎日平和なのは宜しいことだが、毎日見張りの日々なので
目の端に愛しのガダラル殿を確認することが出来ても
話したり、触れたりすることは叶わぬ。
寂しいものだ。





3月25日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


中の国から来た商人が、小さな真珠を持ってきた。
ほう、これで会話ができると?
商人に代金を支払い、さっそく愛しのガダラル殿に渡してくれるよう手配する。
黄金貨10枚もとられた。
早速試すと、耳につけたパールからぶっきらぼうな彼の声が聞こえて歓喜した。





3月27日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


よく晴れ、暑いくらいだった。
周りに誰もいないときは、こっそりと愛しのガダラル殿との会話を楽しんでいる。
しかし・・・声だけが耳に響くというのも体に悪い。
触れたくなるではないか・・・。
『ガダラル殿』
『・・・なんだ?』
『チャHや ら な い か。』


ブツッ

それ以来彼からの会話は来なくなった。
ほんの冗談のつもりだったが、今は反省している。





3月30日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


今日も愛しのガダラル殿は不機嫌そうだ。
それが嬉しい私はおかしいだろうか?
ふと、気が付くと、彼の太ももに顔を埋めるヒューム男性の姿が見える。
どうやら、ガダラル殿の傍で/sitしているようだが・・・。
彼の太ももに顔を埋めていいのは私だけだ、と教えてやりたくなった。
つまり、面白くない。
『ガダラル殿、そやつは何だ?』
『知らん。俺もどけと言ったが、中身がいないようで返事が来なく、困っている』


中身がいない?

流石羅刹、不可解な言葉も巧みに遣われる。





4月11日

魔笛:アルザビに安置
ハルブーン勢力:LV1
他蛮族の勢力:LV0


む、近々トロールが責めてくるであろう。
油断できない。当鯖のトロールめらは、何故か高確率で愛しのガダラル殿を持ち帰りする。
けしからん。守って差し上げたいが、持ち場を離れれば叱られそうだし・・・。軽いジレンマに陥る。
しかし、怒った顔も可愛い。





4月15日

魔笛:アルザビに安置
ハルブーン勢力:LV3
他蛮族の勢力:LV0


軍の士気を高めるため、演習場へと赴く。
他の四蛇将もいるわけだが・・・。自然と愛しのガダラル殿と視線が合うのが嬉しい。
彼も気にかけてくれているのであろう。
愛している。





4月16日

魔笛:アルザビに安置
ハルブーン勢力:行軍中
他蛮族の勢力:LV0


来そうだな。
ワジャーム樹林で撃退せよ、との声が空しく響く。
ふと、愛しのガダラル殿を見ると、人だかりが出来ていた。
相変わらず人気だな・・・。彼は私のものなのに、と不愉快な気分になる。
いかん、顔に出してはならぬ・・・。
む?彼の足の間でぴょんぴょん飛び跳ねている樽がいるではないか、けしからん!
しかも栗樽だと?
ガ、ガダラル、嫌がれ!頼むからそ奴にフレアをぶち込んでくれ!
わたしはつい手すりから身を乗り出して落ちそうになった。
慌てた傭兵達が引き上げてくれたが・・・。

『な、なぜ嫌がらないのだ!・・・下から突き上げられるのが良いのか?』

ブツッ



・・・・







4月17日

魔笛:アルザビに安置
ハルブーン勢力:皇都攻略中
他蛮族の勢力:LV0


ついに来た。
レベル3だから、と油断していたが防衛に手薄な深夜を狙われたため、バタバタと傭兵達も倒れる。
そして「炎蛇将ガダラル戦闘不能!」のアナウンス。
なんということだ。
自分の不甲斐なさに泣きたくなった。
身を引き裂かれる思いとは、こういうものなのだろう・・・。
トロールめらが引き上げた後、彼が捕虜になった、との報告を受けた。





4月18日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


いつもの場所に、いつもの彼がいないというのはなんと落ち着かないものなのか。
じっと彼の見張り台を見ると、彼の従者の髭が気のせいか、頬を赤らめ嬉しそうに手を振ってきた。
やめろ!手を振るな!貴公ではない!!!





4月19日

魔笛:アルザビに安置
三番族の勢力:LV0


愛しのガダラル殿は元気だろうか。
トロール達の拠点であるハルブーンは、マグマが煮えたぎるゼオルム火山にある。
金属で出来たアミール装備は熱を持ち、それすらも拷問になり得るだろう。
ああ、そういえばじっとりと汗をかいたガダラル殿も色っぽくてそそられるのだよな・・・。


勤務中にTPを貯めてどうする。・・・落ち着け私、これでは天蛇将の名が泣くぞ。
そ、そうだな、きっと装備は脱いで、薄着になっているだろう。
あんなところでは鎧など着ていたら蒸し焼きになってしまう。
アミール装備の下に着るのは、白い服であったな・・・。フリルが付いていて可愛いのだった。
それをゆっくり脱がしてやると、恥ずかしそうにうつむいて・・・。

ハッ!いかんいかん!私は一体何を考えているのだ!!!





4月20日

魔笛:アルザビに安置
三蛮族の勢力:LV0


愛しのガダラル殿はまだ戻られぬのか。
『・・・ルガジーン、聞こえるか?』
突如入った通信に即座に返事をする。
『!・・・無事か?』
『うむ・・・。情けないが、まだ捕らえられたままだ・・・皇都は大丈夫か?』
さすが私のガダラル殿。自分の身よりアルザビを心配している。将軍の鑑だ。
『ああ、こちらは街の復旧作業も終わったようなものだ・・・』
『そうか・・・』
ほっと、ため息のような声が耳元でするものだから、私の心はざわめいた。
『助けに行く。会いたい』
『バカを言うな・・・。貴様は任務を放棄する気か』
『いや、駄目だ。貴殿無しなど考えられぬ・・・。会って抱きしめたい』
『ルガジーン・・・』
『ガダラル・・・』
『俺は・・・お前を・・・』




ブツッ





・・・・・・・

・・け・・・・・・・・・・圏外とは・・・・??





4月22日

魔笛:アルザビに安置
死者の軍の勢力:LV1
他ニ蛮族の勢力:LV0


イライラを隠せない私に、水蛇将のミリがこんなことを言い出した。
「ひょっとしたら白門でガダラル救出シャウトあるかもしれないね」
!!!!
なんと気の利く女性だろうか。
アルザビから離れるのは正直避けたかったが、愛しのガダラル殿がいない世界など考えられぬ。
私はミリから教えられた偽名を使うことにし、
出来合いの装備品を競売で買い込むと、白門の人の波に飲まれた。
アサルトやテレポのシャウトが木霊するなか、
「/sh シャウト失礼します、ハルブーンにがだらるw迎えに行きませんかー」
小ばかにされている気にもなったが、シャウト主に
直接話し掛け、私は無事そのPTに紛れ込むことが出来た。





4月23日

魔笛:アルザビに安置
死者の軍の勢力:LV3
他ニ番族の勢力:LV0


Usuhime「わー、ナイトさん、すごい剣ですねー」
Kurotaru「アルゴルじゃね?wwwwはいじんwwww
       ミスwwwタードナッツのフレンチクルーラーフワフワァーー」

はいじんとはどういう意味なのだろうか?
このアルゴルは確かにケルベロス討伐の戦利品であったが・・・。
Rugapyon「これは軍・・・いや、身内で取ったものなのだが・・・」
一同「るがぴょんが喋ったーーーwwwwwナリキリ将軍キター」

ミリの言った通りの偽名を使ったのだが、バカにされてるではないか・・・!
ようやくゼオルム火山に辿り着いたものの、いまひとつ傭兵達と打ち解けぬ。
Karyudo「皆、笑うのはやめて。ハルブーン着いたらがだらるwのこと広域で探すからね」


なぜ がだらるw ?

一同「はーい」

途中、ワモーラがいたものの黒魔道士達の容赦ない精霊魔法により、どんどんと沈んでいく。
忍者が挑発してタゲを取るので、私は正直何もすることがなかった。傭兵とは強いものだな。

Shirotaru「るがぴょんさんのサポは戦士じゃないです?」
サポとはなんだ?
Shirotaru「セルビナとかマウラ行ったことないんですか?」
どこだ?ああ、マウラは知っている。アトルガンと開港した街だったな・・・。
行ったことはないな、と告げたが
Kurotaru「マジカヨwwwwサポ無し内藤BL入りwwwwミスwwwイカ食いてぇwwカブトムシwwww」
・・・?
傭兵達の言葉は難解だ。





4月25日

魔笛:アルザビに安置
死者の軍の勢力:LV5
他蛮族の勢力:LV0


夜を徹して火山を抜ける。
途中、数体のトロールを倒して鍵を手に入れる。
Hitokuro「む、死者の勢力が上がりましたね」
これは一刻を争う。
狩人の広域サーチに引っかかった場所へと移動すると、そこに愛しのガダラル殿が・・・。
少し、やつれているだろうか・・・。私の胸は熱くなった。


Usuhime「いたー。鍵あけるね」
私は、その様子をぼんやりと見ていた。
動くことが出来なかったのだ。
会いたいと願いつづけ、ようやく会えた。この喜びは言葉にはできまい。
言葉などにしたら、陳腐なものにすり変わってしまう気がした。


鍵を開けた途端、皆さっさとデジョンで帰っていく。
Hitokuro「るがぴょんさんはデジョンいります?」
いや、私はいい・・・。
そう答えたが、その瞬間ガダラルがこちらを見た。
声で気が付いてしまったらしい。


牢の前で、二人きりになった。
ようやく私は、その細い肩を掻き抱くことが出来た。
「バカな・・・何故来た・・・」
「貴殿無しでは生きられない自分に気づいた。それだけだ」
暫し抱き合い、ガダラルが熱いため息を漏らした。
TPが貯まりそうなのを必死で堪える。
突然、彼が私を押しのけた。
「?」
「・・ずっと、汗をかいて・・・風呂にも入れず・・・その、匂うだろう・・・離れろ・・・」


可愛くて堪らない。
私は再び彼を抱き、唇を奪った。





4月26日

魔笛:アルザビに安置
死者の軍の勢力:LV6
他蛮族の勢力:LV0


死者の軍の勢力がレベル6とか知ったことか。
私に貫かれて甘い声を漏らすガダラル殿に夢中だ。
「こんな所でっ!こんな所で・・・!!」
などと言ってはいるが、正直なもので、ワジャーム樹林の湖で
沐浴したばかりの冷たかった体は酷く熱くなっていた。
巨木に抱きつかせるようにして立ったまま後ろから突き上げ攻めると、体が浮くほどに悦んだ。
「あっ、ああ・・・!いい・・・!ルガジーン・・・!!」
野外での開放感からか、それとも1ヶ月以上も
していなかったせいだろうか、ガダラルは夢中で私を呑み込んでいる。
「良いか?」
コクコクと何度も頷き、涙を浮かべ、木に爪を立てる。
トレントさんが泣いてるぞ。





4月26日

魔笛:アルザビに安置
死者の軍の勢力:行軍中
他蛮族の勢力:LV0


「来そうだな・・・」
ぐったりとした体を向かい合わせに私に預け、ガダラル殿がポツリと呟く。
「・・・ああ・・・」
「戻らねば・・・」
「まだ、駄目だ・・・」
もう何回目なのだろうか。丁度あった洞穴に身を隠し、抱いては眠り、を繰り返していた。
今尚、私のものは彼の体の中に納まっていた。
「抜け・・・仮にも将軍だろう・・・」
「これからは愛に生きようと思う」
「バカ・・・」
ガダラルの顔が近づいてくる。
口付けに応じ私が目を閉じると、彼から舌を入れてきた。
「今、戻っても役には立てそうにないな・・・」
彼からの口付けが嬉しく、その細い腰をしっかりと抱きしめる。
「あ・・ぅ・ん・・・っ」
中で私のものが暴れたようだ。
「お前は、いつになったら枯れるのだ・・・」
「数えてみるか」
「バカバカバカ・・・!」
と、その時大地が揺れた。
「何・・・?!」


私たちが抱き合うその脇の道をおびただしい数の死者が行軍していた。


「しまった・・・!!!」





4月30日

魔笛:アラパゴ暗礁域






怖い、ナジュリスの顔が怖い・・・!!









「笑ったまま怒る、なんて事が出来るんだな、あの女」
「うむ、まあ・・・怒るのも仕方ないだろう・・・我々の留守中に魔笛を奪われたのだから」
「何であの女は捕虜にならなかった?」
「顔が怖いからであろう」
私の意見にガダラルは吹き出した。
「しかし、良かった。貴殿が傍にいることが、こんなにも幸福なことだと知ることが出来た」
「・・・そうか」
「もう、出来れば離したくはないがな・・・」
彼を抱きしめる。
ようやく身辺整理が落ち着き、彼の部屋で
こうして抱き合うことが出来るこの幸福は何ものにも替えがたい。
「魔笛が無ければ、ずっと蛮族は攻めてこない・・・」
「今、不埒なことを考えただろう」
「・・・いかんな、忠誠を誓っているのに、魔笛など無くなってしまえば良いなどと」
ガダラルは何も言わなかった。
そっと、人差し指で私の唇を塞いだだけ。


「無粋な男だな、私は・・・こうして愛しい者と二人きりだというのに」
「天蛇将の定めなのではないか?」
「・・・そうやもしれぬな」


ガダラルの青い瞳に炎が灯った気がした。
そっと、その白い手で私の頬を包み込む。
「本当は嬉しかった。例を言う」
私は微笑む。
多分、それは彼が一番安心できる表情だと思うから。
「貴殿を助けに行ったのは、私自身のためだ」
きょとんとしたその顔は意外にも幼く。
「会いたくて仕方なかった。抱きたくて仕方なかった。だから自分の為だ」
また、笑う。
私は身を沈めて跪き、彼の手の甲に唇を落とした。
「さ、姫。命がけであなた様をお助けした私めになにとぞ、褒美を」
ガダラルが吹き出す。そんなに似あわなかっただろうか?
「好きにしろ。この体も心もすでに貴殿の物ゆえ」



熱く抱きしめ、口付ける。
そのままベッドで溺れることにしよう。