二人だけの秘密





俺が気に入らん人間の一人に、風を名乗る女がいる。
どうもこいつは耳年増、というか・・・。他人の恋愛ごとにやたらと首を突っ込んでくる。

たとえば、こんな昼飯時。見張り台から
食事をしようと食堂へ移動すると、それを偶然を装って隣に座ってくる。
俺は一人で食事をしたいのだが、何度言っても
自分が一人の食事は嫌いだからと、わざわざ寄ってくる。

「あら.美味しそうなイチピラフね」
やはり来た。
俺は無言でいたが、お構いなしに隣の席に座って、自分も昼食にありつく。
さっさとその場を逃げようと、速度を速めてスプーンでピラフを口の中にかき込む。
俺たち五蛇将は、昼のサイレンと共に食事につけることは滅多にない。
兵士達は午前中の訓練の終わりを告げる昼のサイレンの通りに食堂へ向かうが、
将軍等ともなると他の雑務や伝令などで食事の時間はわざとずらすことが多い。
ザザーグなどはわざわざ自分の仕事を後回しにしてでも兵士達と共に食事を摂るそうだが。
そこまで媚びんでも、と皮肉を言ってやりたくもなる。
「一口、ちょうだい」
と、勝手にスプーンでピラフをすくって行くのを批難の目つきで見る。
「わたしのとトレードしましょ」
ピラフの皿に千切ったクァールサンドを載せてくる。・・・が、肉は入ってない。
「俺は米を食いたい気分なのだが」
「いいじゃない」
全く人の気持ちなどお構いなしなのだ。腹が立つ。
塩入りのヨーグルトを平らげ、チャイで口の中を流し、一息つこうとしたその時、
どうやら何か思いついたらしく、人の耳にその口を寄せて内緒話を仕掛けてきた。
決まってる。こういう時はいつも下品なことを聞き出そうとするのだ。
しかし、今日はとりわけ凄いことを聞いてきた。
「ね、ちゃんとルガジーンにフェラチオしてあげてるの?」
俺は盛大にチャイを吹き出し・・・。
「ちょ、炎さま大丈夫ですかー?」
給仕娘に台拭きを持ってこさせるハメになった。
「きききき、貴様ぁ!」
俺は当然立ち上がって抗議したが、この女はお構いなしにサラダに手を付けはじめた。
コイツが俺にちょっかいを出すことで生まれる誤解の一つ
「炎さま、折角の綺麗な恋人に貴様、なんて言っちゃだめですよぅ」
なんと、いつの間にかじゃれ合う恋人同士に仕立て上げられているのだ。
「あら、綺麗だなんて。うふふ。今日も可愛らしいわ」
否定して欲しい、否定したい。
けれど、俺はこの女の存在をカモフラージュとして使わせてもらっているという弱味があった。
俺の恋人は・・・まぁ、男なのだが・・・。多分皇国で最もいい男なのだが・・・。
いや、どこを探してもこんなにいい男はいないと、日ごろ・・・まあ・・・思っているのだが・・・。
軍の重鎮なのでスキャンダルは避けるべきだと思い、公言はしていない。
なので、この女がちょっかいを出してきてもずっと我慢していたら、
周りは公認のカップル、という風に誤認識してしまった。
迷惑な話だ。
俺の恋人にそのことを話したら(少し嫉妬するのではないかと期待した)いつものようにハハハ、と笑い
「誤解なら構わんよ」・・と、実にオトナの余裕、というのを見せ付けられて拍子抜けした。
嫉妬くらいすればいいのに。畜生。



給仕娘が厨房に去ったのを見届けると何食わぬ顔で
「あなたってベッドの上では冷凍のラケルダなんじゃなくて?」
意味が解らん。というか、話は続くのか!!!
「冷凍のトゥーナ。ひんがしの国風で言えば、そう。冷凍マグロ」
上品にチャイをくい、と飲みつつ、本当に下品だ。
「あなたって女王様気質、って感じなのよねえ。セックスも、
 二人でしている、っていうのじゃなくて・・・。そうね、させてやってる。って気がするの」
俺は絶句していた。多分、顔は青ざめていると思う。
何故、この昼日中にこんな話をできるのだ、この女は!畜生!
「男同士でしょう?基本はオーラルなんじゃなくて?」
あ・・・・・・頭が痛い・・・・!!!
「その手の話は・・・まだ続くのか・・・!!?」
「いくらでも出来てよ?」
丁度給仕娘が代わりのチャイを持ってきたところで、コイツの口もようやく静かになった。
しかし、給仕娘がチャイをテーブルに載せて一礼をし、厨房に戻っていく間に・・・。
確かにそうだ、と思考する。
確かに俺は「させてやってる」ような気がする。
いや、違う・・・何かしようにもアイツは勝手に体をまさぐって
抵抗などさせぬし、でかい体はびくともしないし、逆に俺は簡単に持ち上げられたりで・・・。
ううう、顔が熱い・・・!
このバカ女め・・・。
「してないのね」
「貴様に関係あるか・・・ッ」
「無いけど。でもね、とっても大事なことよ。あの方も多少は不満に思ってるのではないかしら?」
不満・・・・!
そうか、そうなのか・・・?
いや、俺だってされれば気持ちがいいし、嬉しい。
あのやけに整った顔が俺のモノを口に咥えていたり舐めたりする絵に興奮するし・・・。
「うあああああああ」
とりあえずけれどこの女にはもう関わり合いになりたくない。逃げるようにしてその場を去った。
「あら、今日も風さまの勝ち」
「犬も食わない、と言いますから放っておきなさい。ホホホ」
・・・とは遠巻きから喧嘩?を見ていた給仕娘とでっぷり太った食堂長の会話である。





「?どうした、炎の」
ルガジーンの声にはっと我に返る。炎の、という呼び方は俺の通り名でもある「炎蛇将」からきている。
普段は呼び捨てにされるが、公の場所ではこの名で呼ばれる。
何故だ?と、聞いた所「貴殿の名には愛情という響きがこもってしまうからな・・・」などと答えが返ってきた。
良く解らんな。というか、ぼんやりと考え事をしていたら、
何故かルガジーンの・・・いや、天蛇将の見張り通路まで来ていた。
忌々しい。
後ろで金髪を高く結い上げた女が一礼しつつも般若のような顔で俺を睨んでいる。
解り易く言うと、ハンカチを口に咥えて「キィーー」という顔だ。
多分、コイツは気がついてるのだろうな。側近だものな。怖いなこの顔・・・女は嫌いだ。
「・・・顔が赤いな?熱でもあるのか?体調管理も仕事のうちだぞ」
「・・・・・・畜生・・・ッ」
と、そこで何か思ったか、ルガジーンは側近の女を人払いすると
「どうした?何か言い難い話でもあるのか?」
優しく微笑む。
ううう・・・。身を屈めて視線を同じにするのが何とも子ども扱いされているようでムカツク。
「こ、こっちに来い」
長い耳を引っ張ると避難用通路にまで誘い込んでやった。
ここなら誰も来ないだろう。





「ガダラル・・・急にどうした?」
「忌々しい、あのクソ女めッ」
「あー・・・」
ルガジーンが頭を抱える。
「またナジュリスに何か言われたか」
「俺は飯を食ってたんだ、なのに急に来て・・・げ、下品なことを・・・っ」
「下品、下品、下品・・・と」
ルガジーンが何か思い出すように腕を組んで額をトントンと指で叩く。
「この前は好きな体位のこと、その前はどちらから誘うか、
 その前は口付けにかける時間、その前は初めての時の話、その前は・・・」
「言うなぁぁぁぁ」
「今日は何を言われた?」
「・・・ぅ・・・っ・・・!」
言わすのか・・・・・・?!
いや、でも・・・・・・。
俺はルガジーンを見る。
整った顔立ち、凛とした姿勢。逞しく、すべてを守るその体躯。



そして脳裏に浮かぶ、クソ女の一言「冷凍マグロ」・・・・・・。
「ルガジーン・・・正直に言えよ」
「・・・・・・?何だ?」
「俺では物足りぬか?」
「・・・・・・ん?」
「だ、だから・・・。俺を抱いて、その、満足できてるのか・・・とか・・・き、聞いている・・・」
あああ、ダメだ、顔が熱い・・・。つい顔を背けて足元の石畳を見つめた。
「んー・・・」
な、なぜ満足してる、と言えんのだ・・・!!!
「貴殿は少々体力が無いな。正直もう少し付き合っていただきたいが」
「なんだと!無理に決まってるだろう!貴様の体力がおかしいのだ!」
「10回はできるぞ」
「殺す気か!」
「・・・」
結局、怒るのだな、と笑いながら持ち場へと戻っていった。



この日は夕刻から蛮族が攻め入り、だが、時間も時間で
傭兵どもも街に待機していた事もあり、防衛には成功した。
幸い、五蛇将も全員無事揃っての勝ち鬨となった。
各隊の被害報告を受け、石工が街の修繕のため走り回る姿が至る所で見受けられる。
自分の持ち場である競売で小さな配達員達と会話をしていると、
背後に気配を感じた。振り返ると、ルガジーンが迎えにきてくれていた。
「さ、まだ仕事は残っているぞ」
そのまま宰相やら不滅隊の連中も交えた会議へと移行する。
・・・疲れてるのだがな。
堂堂巡りの不毛な会議は宰相の鶴の一声であっさりと終了し、ほどなく夕食にありつけた。
一般兵はすでに食事を終えて、食堂には人はいなかった。
ザザーグは隊の連中と飲みに行くというし、ミリとナジュリスは共に街で食事を摂るという。
つまり、俺とルガジーンは二人での食事を楽しむ事が出来た。
なるべく会話を邪魔されたくないから、と、ルガジーンはさっさとベランダのオープンテラスへと移行する。
夕闇のなか、街の喧騒が遠くから聞こえ、
テーブルのコムハニーから作られたキャンドルに火を灯すと、甘い香りが立ち上る。
なんというか、ムードがある。俺は不覚にもつい、
うっとりと炎に照らされるルガジーンを見ていたかもしれない・・・。
「晴れているな。この街の夕闇は本当に綺麗だ」
そのとおりだな。
薄い雲がゆっくりと流れ、夕焼け空はやや薄紫で・・・。
テーブルに置かれた書類が無ければ、もっと良いのだがな。
そんな俺の気持ちに気付いたのか、ルガジーンは書類の束を隣のテーブルへ投げた。
バサ、と音を立てて乱暴にされた事に書類達は抗議をする。
「おい、いいのか」
「今夜は貴殿と摂る食事の方が大事だ」
俺の右手を取ると、嵌めていた赤い指輪に軽く口付けをする。
「鎌を振るおうにも、貴殿の手は美しいままだな」
そんな事は無い。手のひらは豆が何度も出来ては潰れているし、皮は厚く硬い。
つまり無骨だ。こんな手の魔道士はいないだろう。
そう抗議しようとも、俺の体ならどこだって良いんだろう。
キザだな・・・。そういうところにも惚れてるのだがな・・・・・・。



白ワインを傾け、アクアパッツァを取り分けながら食べる。
アトルガンは海に囲まれているから魚が豊富で旨い。
深い旨みが疲れた体を満たしていく。
会話はほとんど今日の市街戦の話だった。
「ルガジーン」
会話が途切れた所で、俺は意を決する。
「俺の部屋に来い」
その、あの女の言うとおりにするのは癪だったが・・・。でも、俺だって・・・。
「疲れてるのではないのか?」
「疲れてなど・・・」
「貴殿の誘いに乗らぬわけが無い」
ルガジーンは目元で笑うと、グラスのワインを一気に煽った。





「・・・ん・・・っ」
思わず声が出る。どうしてこの男の舌はこんなに気持ちがいいのだろう。
俺の口の中で好き勝手に動くくせに。俺が絡めようとすると楽しそうに掠めて蹂躙するくせに・・・。
目を開けると、その気配に気付いたのか同じように瞼を開けられ・・・。
恥ずかしいけど見詰め合ったまま激しく舌を絡めた。

まだ部屋に入ったばかりで扉の前なのに、熱い口付けを仕掛けられた。
灯りを点けようとしたのに、その手を引かれて抱きとめられる。
暗闇の部屋で、息遣いだけが荒い。
「がっついてはいかんな」
暗い部屋で良かった。多分、俺の顔は上気しているだろう。

ルガジーンは先にシャワーを浴びてベッドで寛いで本を読んでいた。
クッションをいくつか腰に敷いて、それを支えにしている。
多分俺の魔道書だろう。こいつはこういった本は興味が湧かないのかすぐ飽きる。
ギシ、とベッドを軋ませてその体に身を任せると、宣言する。
「今日は、好きなだけしていいぞ・・・」
ルガジーンの顔が少し嬉しそうに微笑み、書をベッドの脇のテーブルに置くと、
見つめる俺の髪を撫で付けてサイドに分ける。
「伸びたな」
「切った方が良いか?」
「いや、少し長いのが好みだ」
もう少し伸ばすことにしよう。
俺はルガジーンの夜着に手を伸ばし、前をはだけさせた。
「今日は、俺が」
「・・・?うん?」
マグロとかトゥーナとかラケルダとか大きなお世話だが、俺も、この男を愛したい。
唇を、奪う。
舌を差し込もうとするのを避けて、鋭角な顎を舐める。
「・・・そうきたか」
ルガジーンがニヤリと笑うのを横目に、もう一度口付けて、今度は俺から舌を入れた。
綺麗に生え揃えられた歯をなぞり、上あごを柔らかく舐める。
ほんの少し、ルガジーンの体が震えた気がする。
舌を舐めると、奪うように絡めた。
ルガジーンは俺を抱きしめるようにすると、激しく口内で暴れた。
舌が・・・気持ちいい。
くすぐったいような、熱。



どちらとも解らないため息を吐き、
唾液すら奪うような口付けを交わしながらルガジーンの下半身をまさぐる。
そこは熱を帯びていた。・・・でかい・・・。知ってたけど、でかい。
ぴちゃぴちゃと唇を濡らしながら、体の中心の芯を強く擦ると、また硬さが増した。
良かった、気持ち良いんだな・・・。
口付けるのを辞めて、下着をも剥ぐ。



当然のようにソコはそそり立ち・・・。俺は思わず見つめたまま動けなかった。
昼間の屈辱の言葉を思い出す。
ーーー基本はオーラルでしょう?
そうだ、俺はこの男を愛したい。
指で、割れた腹を撫でるとペニスに辿り着く。その流れで・・・身を屈めて口付けた。
「・・・ガダラル・・・無理はするな」
男のものを、口で愛撫するのは初めてではない。
ただ、好きでやったわけではなく・・・。過去複数の男達に強姦されて無理矢理させられた。
その時は捻じ伏せられて代わる代わるに口に突っ込まれ、動かされた。
男としての尊厳すら奪われるような、そんな屈辱で吐きたくも死にたくもなったが、今は違う。
ルガジーン。
この男のものだから、俺は平気だ。
この男は俺の過去を知っている。
知っているから、強制はしてこなかった。優しい男だ。
恋人ならば、こんな事をするのは当然なのに不満を言わなかった。
認めるのは嫌だが、あの女の言う通りだ。男なのだから、恋人がオーラルに応じなければ不満に思うだろう。



俺はルガジーンの言葉を無視すると、手でペニスを上下に擦る。
こんなのが俺に入るのか・・・と改めて思うと・・・少し興奮する。
片手で睾丸を弄ぶようにコロコロと愛撫もする。
・・・可愛いな・・・。二つのそれは忙しなく俺の手で好き勝手に動かされている。
「遊んでいるのか」
ルガジーンの声が少し笑っていた。



舌を出して、根元の方を舐める。
当たり前だが無味だ。膨張した風船のように張りつめている。
その長さを確かめるように下から上へ舌を這わすと、ルガジーンが息をひそめた。
その動作を場所をかえて何度かし、一番太い部分をぐるりと舐めた。ココが俺の中を引っ掻き回す・・・。
あの快楽が欲しくて、ずくりと体の中が疼くのを感じた。
いれたい・・・。



意を決して、口を広げ、しゃぶる。
太いそれを味わうように、舌を動かしてやると、再びルガジーンは息を呑んだ。
顔を上下に動かし、いつもされてるように唾液を流して音を立てると、じゅぷじゅぷと口が鳴った。
サイドに分けた髪の毛が落ち、俺の顔を隠す。
恥ずかしいから丁度いい、と思ったのにルガジーンに再び耳に掛けられた。顔を・・・見たいんだな・・・。
望みどおりに上目使いでルガジーンを見ると、悦に入ったような表情でじっと俺をみていた。
いつものように慈愛に満ちた、けれど欲を持った男の目だ。
角度を変えてルガジーンのモノが出入りするのを見せつけ、そのまま続けると、
口の中の硬質なものは塩辛いものを少しだが吐き出した。
ぬめつくそれをペニスにまぶし、俺は夢中で首を動かした。
「ガダラル、疲れたら・・・辞めて良いぞ」
確かに顎は疲れる・・・でもいかせたい・・・。
本当は俺の中を擦って欲しいけど。



ルガジーンは俺の顔を抑えて辞めさせると
「・・・?良くない、か?」
「いいや、とても感じた」
頬に口付けをされた。上手く出来たねと、それはご褒美のような気がした。
ふ、と笑ってから、ぽかんとする俺を撫でると頭をベッドの足側へ移動し・・・。
「・・・舐めあおうか」
とんでもない提案をする。
「な・・・・っ」
断る間もなく、片足を持ち上げられ・・・。あっさりと俺のペニスを掴んだ。
「・・・ぅ・・・」
「だいぶ大きくなっていたな」
興奮してた・・・。それは認める。ルガジーンのペニスをしゃぶって、それが欲しくて興奮していた。
「滑ついているではないか・・・」
それを口に咥えられ・・・。
「・・・ぁ・・・っ」
声が漏れた。
ずるずると舐められるのが気持ち良い。
丁寧に上下に愛撫されると体がゾクゾクした。
背骨が快楽を伝えようと電撃を脳に流すように、軋み、思わず前に屈んだ。
俺も再びルガジーンのペニスを口に咥え、時おり袋も食べるかのように優しく噛んだ。


俺のものを咥えながら、ルガジーンの指が俺の後孔を優しく撫でつけた。
「・・・ん・・・っ」
思わず声が出て、口から彼のものを離してしまった。
「欲しそうだ、もう広がっている」
欲しい、欲しい。切なくて、いれて欲しい。
そしてそこに指を入れられた。
指先でほんの出口をくすぐられるようにされ、
もっと奥に欲しくてもどかしくてルガジーンのペニスを強く握り、舐め、吸った。
俺の中の指は一度抜かれ、尻を両手で掴んで広げると今度は・・・多分・・・舌が入ってきた。
軟質の生き物のように、入り口を広げるように掻き乱す。
びちゃびちゃと音がしている。むず痒いような快楽に、俺は咥えていたペニスを離して、
「・・・ひぅ・・・っ」
情けない声を出していた。
ルガジーンの舌は、さらにペニスを出し入れする時のように、挿入を繰り返す。
排泄の、あの感覚が延々と続くような快楽にシーツを掴み、声を上げる事を耐えた。
いつの間にか形勢は逆転していた。
仰向けにされて、足を肩に乗せられ、ずっとルガジーンの舌に弄ばれた。
挿入のためにびちゃびちゃにソコを濡らされているんだろう。
こんなに欲しくて、待ち遠しかったのは初めてだ。彼のものをしゃぶってる間中、
ずっと焦らされているような気持ちになって、頭の中では「早く早く」と、ねだっていた。
やがて彼が俺に覆い被さり、足を広げられてその間に割り入って・・・・・・。
「あーーーー・・・」
深く一気に挿入されて、情けないけれどそれだけで達していた。



ルガジーンが上から見下ろしている。
その視線すらゾクゾクと感じる。俺はおかしくなったのだろうか・・・。
達した余韻で体がビクビクと震え、足の指が勝手に内側に倒れるように力が入った。
それでも、まだ達してはいないルガジーンは出し入れを繰り返す。
その動きのたび、俺は短く、犬のような呼吸を繰り返していた。
内蔵を衝かれるという体が浮くような心細さにしがみ付き、彼の、闇に濡れたような髪色の頭を掻き抱く。
「ルガジーン・・・・・・!」
その声は自分でも驚くほど甲高く、切なく響いた。




「ひい、ふう、みい・・・7回かな」
「うーーー・・・」
回数を指折り数え、ルガジーンはぐったりとする俺に笑いかけた。
「貴殿も頑張ったな」
「・・・最初で最後だ」
「それは残念だな」
「そ、その気になったら・・・また、してやる・・・」
「無理強いは、せぬよ」
「してやる、と言っている」
俺はどうも素直になれぬから、つい喧嘩を売るような口調になってしまう。
でも、この男はそんな事は気にもしない。
器の違いを見せ付けられる。
「そうか、嬉しいな・・・と。貴殿がナジュリスに言われた言葉が解ってしまった」
だろうな・・・。俺は今まで与えてもらうばかりだったし、急にこんな事をしたらおかしく思うよな。
「実は私も彼女に言われた言葉があるのだが」
「なんだと?何を言ったあの女」
「朝のほうが硬くて良いのよ。・・・だそうだ」
「〜〜〜〜〜ーーーーーーーーーーーッ」
なんて変態だッ!!
「試して良いかな?」
「・・・へっ?」
「朝、起き抜けに良いか?好きなだけしても良いと言ったな?」
うわ、目が本気だ・・・。
「ちょっと待て、それは男の生理現象で、確かめなくとも解る事だろう?」
「貴殿側で良いのか、試したい」
つまり、入れられる方でと言うことか・・・?
それは・・・まあ・・・硬いほうが良いのは経験上わかってはいるが・・・・・・。
「貴様のものなら、充分・・・ぃぃ・・・から、その・・・・あんな女に振り回されるな」



畜生、なんでこんなことまで言わねばならんのだ、あのバカ女ッ!
ああああ、顔が熱い・・・!
しかも目の前の男は嬉しそうにニヤニヤ笑っている。
畜生畜生畜生ッ
本当は影でグルになってるんじゃないのか?こいつら!