たなばた | |
ささの葉 サラサラ のきばに ゆれる お星さま キラキラ 金銀砂子(すなご) 正月に無理矢理着せられた着物とは違い、男のものの浴衣を着、 夜空の元でゆっくりと晩酌をする彼のグラスが空にならないよう、気を付けて酌をする。 右の手で体を支え、左手にグラスを持ち、右の足はおざなりに投げ出したまま、 左の足は膝を折り、リラックスをした様子で彼は歌を唄った。 す、と冷酒を口に含んで、こくりと飲み、たいそう機嫌の良いそのままに、 目を閉じて夜風を浴び古い古い歌をくちづさむ。 恋人の機嫌の良い姿は、見ていても楽しい。 その歌は一度も聞いた事は無かったが、ガダラルの、 穏やかな姿を目にするのは幸せな事だと思う。 ほんの少ししか減ってはいないグラスに透明な甘露を注いでは、 「せっかちなやつめ」 と、笑われる。 「いいではないか」 ルガジーンも微笑み、ほんの少し赤みのさした彼の頬を優しく手の甲で撫で付け、 「君の酔った姿を見たくてな」 と、いいわけをする。 盆に載せた冷酒は外気との温度差で汗をかき、早く飲んでしまえと、二人をせっつく。 本当は、眩しかったのだ。 闇の中に露出された左足の脛が、白さをいっそう目立たせ。ルガジーンは目のやり場を失っていた。 見慣れない彼のその姿は、帯で腰の細さと体の線が強調されて、 誰の目にも見せたくはないほどに、色っぽい。 「なぁ、こんな話をしっているか?」 「君と、会えない日など」 その眼差しがやけに熱っぽく真剣だったので、 |
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あまのがわ | |
少し酔った。 彼はそう言うと、ふらりと散歩に行こうと男を誘った。 普段の彼らしからぬ、おぼつかない足取りでも、行くと決めたら彼は行く。 仕方なくルガジーンは彼を追って草履を履いた。彼もまた、濃い色の浴衣を着て彼の後を追う。 町の外れの人の手が入っていない川に辿りつくと、小さな光がいくつもふわふわと浮いていた。 さらさらと静かに流れる川は、川とはいえ小さな規模で、深みでも膝下程度の水量だ。 川とはいえ、浅く、幅もなく、対岸まではすぐそこだった。 |
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かささぎの橋 |
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ベッドに仰向けに転がると、互いの体を触りあっては笑う。 織姫と彦星は会えたのだろうか。 彼らもこんな風にじゃれ付いているのだろうか。 全開にした窓から、夏の夜風がふわりと舞い込み、カーテンが揺れる。 そのむこうには月がこちらを覗いていた。 ───今日は晴れたから、二人は会えただろうな。 まどろみを始めたガダラルはぽつり、と呟き、ルガジーンは彼を見ていた。 「君を愛してから臆病になった。 「俺は逆だな。 ふふ、と笑いあい、手を繋いだまま、眠った。 |
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